今日は千葉県八千代市にある八千代松蔭学園の土曜日講座の講師として訪問してきました。
こんな内容↓
今日は第一回目。
アート(自己表現)と社会課題を結びつけるワークショップでした。
最初に3つの講座のルールを説明。
・安全 :ここは安心できる場所で、どんな発言や行動も基本的にOK。(他者を傷つけないものであれば)
・ユニーク :一人一人の個性はユニーク。自分であることを考えてもらう。
・みとめる :それぞれに好みはあるけれども、自分の好みではなくても相手の個性の発露であることを認める、相手に改善点を教えない。ここは技術の場ではない。
そして、自己紹介と自分の作品3点を紹介しました。作品を通じて、ジェンダーの観点から見た芸術の世界の歴史と今の課題やモデルたちの性自認そして美について少しお話ししました。
ここまでで20分ちょい。少し水分補給や息抜きを挟みいよいよ生徒さんたちの制作に。
今回は自分に身近な課題にヒントを得たことをもとに、自分の表現を色紙に落とし込んでもらうことにしました。
課題探しの資料としてはナショナルジオグラフィックやらアエラやらは持って行きましたが、スマホやパソコンで自分んで情報得ることもOK。それぞれの課題探しからスタートです。
キーは、課題に対して自分はどう思うのか、感じるのかを考えること。
社会や身近な課題を見つけ出してもそれを説明することでは作品にはなりません。それを自分はどう見るのか、感じるのかを探りそれを表現することを求めました。
10名ちょっとの参加者で一番あがった課題は環境問題でした。空気汚染やゴミ、そして海洋生物へのダメージを訴えたい、という生徒さんが多かったです。
また、そのほかにはLGBTについてやxジェンダーへの理解を深めて欲しい等の課題もありました。
あとは子供の自殺について。今の彼らが何を課題としているのか垣間見え興味深かったです。
制作が始まったら、個別に制作の意図を聞きながら要点の整理のお手伝い。課題は見えてもそれが自分とどう結びついているのかまで視点がいかない生徒さんも少なくありませんでした。
例えば。「AIの普及で人間の仕事が奪われることを表現したい」という生徒さんがおりました。 その課題のどのあたりが問題と感じるのか?と聞き返してみますと、沈黙してなかなか答えがありません。それは実はあなたの課題ではないのではないか?という私の意見を伝えました。 結果としてはその生徒さんは「SNS上での匿名であることからくる暴言について」をテーマにしました。ずっとその方に身近なテーマで、自分自身もそれに流されてしまいそうになる、ということをお話ししてくれました。作品の完成が時間内では難しかったのですが、途中まで進み、その方らしい構想になっていました。
あっという間に90分は過ぎてしまいました。時間になってもみなさん集中して制作されていましたが、それぞれの午後の予定もあるので全体では一度クローズをして、もう少し続ける方はもう少し残って制作。
始まる前に懸念していた、そもそも絵の表現に落とし込めるのか?!という懸念は杞憂に終わり、皆さんの創作力の逞しさを感じました。
反省は時間と内容のバランス。
今回のはもう2~3コマあってやるのが良い課題でしたので次回は時間内では完成できるリードを目指します。
またき来ます。
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*後日学校から生徒たちのフィードバックをいただきました。3名の方の感想です。
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『今まで自分の見たものをそのまま描くことがほとんどだったけど、自分の考えや伝えたい事を描くことができて、これからそういうふうに描きたいと思いました。』
私: おお、ぜひ!考えも形にしてみてください。
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『アートを通して社会問題を訴えるための方法を学ぶことができました。社会風刺画や社会問題を啓発するポスターを見たことはありましたが、自分で表現するとなると新鮮で、良い機会だったと思います。
工作や絵を書くのが好きだからというだけの理由で申し込んだ講座でしたが、学びも多く、楽しかったです。
講師の先生の作品も見せて頂いて、先生が思ったこと、考えたこと、表現したいことのお話を聞きました。作品を見ただけでは漠然とした感想しか抱けませんでしたが、そのお話を聞いて、先生が思った社会問題についても思いを馳せることができました。
また、近くで見るとものすごく綿密で、油絵の具は大きく大胆に形を表現するものだと思っていた私にとっては、少し驚きでした。もちろん大胆さも持ち合わせた作品でしたが、細い線がきれいで、色使いは全体的に見たときにとてもきれいに映るようになっていて、とても勉強になりました。』
私: 思いがけず色々学んでいただけたようですね。こちらも嬉しい。自分の作品をしっかり分析されていてドキドキです。作品を通じて背景に踏み込んで考えてもらえたのなら本望ですね。
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『自分や他人の考え方を認めるということを学んだ。アドバイスをすることだけでなく、受け止めることを大切だと思った。』
私:これ、結構大事なこととして伝えたかったことでした。受け止めてくれる方がいて本当に嬉しい。作品制作を通じて他者を知り自分を知り、それぞれを受け止めていってほしいです。