Title : 8円
Material : Oil on Canvas
Size :65.2×65.2 cm ×2
これは大林三佐子さんの事件に触発されて描いた一枚です
具体的には社会の中での「女性」の脆弱さです
象徴的な事件が2020年の11月に報道されました
大林三佐子さんは2020年の2月以降派遣の仕事を失い、
バス停のベンチで寝泊まりしていました
住民の一人が「痛い思いをさせればいなくなると思った」
という理由で彼女の頭を殴り、殺されてしまうという痛ましい事件でした
彼女の所持金は8円だったそうです
今、日本では大林さんのように働く女性の6割近くが非正規雇用で働いています。
コロナ禍において経済的な行き詰まりの影響を受けやすいことはすぐに想像つきます。
その反映でしょうか、女性の自殺率は昨年10月と比較して8倍という数字が報道されました。(男性は22%増)
これほどの構造的な歪みがあるにもかかわらず、しかし、一人一人の状況は個人的な課題に矮小され
自分で道を切り開くことを求められます
あしなが育英会が2020年の10月末に行った過去最大のアンケートでは、特に子供を抱える家庭の
本当にギリギリのところで踏みとどまろうとしている叫びのような回答がいくつも寄せられていました
自分は胸が痛みました
こういうときにいつもわくのは
なぜ描くのか、という疑問です
この一枚が誰かのご飯になるわけではないのですが
それでも、彼女たちの叫びを無かったことにしたくない
その感情が描かせたのが正直な思いです
説明は色々書きました
しかし作品の価値はそれも放った先にあるんだろうなあ
と思ったり
まだこれは入り口です
ここを基点にcovic-19 × 女
でシリーズ描いていく予定です