SAC(social art creators)で研修旅行として市原で開催中のいちはらARTxMIXへ行ってきました。テーマは「芸術祭とは何か?を体験しよう!」です。
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いちはらアートxミックス2020
・名称:房総里山芸術祭 いちはらアートxミックス2020
・会期:2021年11月19日(金曜)~12月26日(日曜)
・開催エリア:小湊鉄道を軸とした周辺エリア(五井、牛久、高滝、平三、里見・田淵、月出、白鳥、養老渓谷)
・主催:いちはらアートxミックス実行委員会 総合ディレクター北川フラム、アートディレクター:豊福亮
デザインディレクター:色部義昭 広報アドバイザー:佐野弘明
〒290-0225 千葉県市原市牛久500(市原市市役所南総支所内1階) ☎︎ 0436−50−1160(FAX 0436-50-1303)
✉️ kokugei@city.ichihara.lg.jp
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「芸術祭とは何か」と言うことを勉強してみよう、と言うことで今回訪れた「いちはらアートxミックス2020」は、近年、日本で盛んに展開されているツーリズムに絡んでいるタイプの芸術祭です。どんなものか、私の見方で3つ特徴を挙げてみました。
・特定の広域のエリアを舞台としている
今回のいちはらアートxミックスは小湊鉄道沿線が会場でした。電車だけではいけないような奥地や閉校になった学校もあり、移動手段は電車やバスあるいは車を利用します。
・地域の人々の生活圏にアートが侵入していく
例えばいつもの商店街の閉店したお店に展示会場が出現する、商売をしているお店の店内で展示がある、いつも使う駅の構内にアート作品が出現する・・・。美術館やギャラリーではなく生活をしている生活圏にアート作品が登場することが大きな特徴です。
・街全体で開催される
アートを展開をする人たちだけのお祭りではなく、地域に住む方々も巻き込んで開催されるアートのお祭りです。例えば地域の皆さんによる活動発表や、おもてなし企画、ワークショップの開催、地域のお店の出店や発信があるなど、いろんな形で来場者と地域の人との交流の機会が設けられています。交流が生み出されることも芸術祭を開催する重要な要素ですね。
どうでしょうか、上の3点だけでも既存のアートの鑑賞とは全く違う体験ができそうだな、と言うことが伝わるのではないでしょうか。
私たちSAC(social art creators)は「ARTxCAFE八千代まちなか珈琲の香るアートラリー」を2018年から千葉県八千代市という街を舞台に展開しています。「いちはらアートxミックス2020」のような芸術祭から今後の展開について学ぶために1日日帰り研修へ行ってきたのですが、規模が違いすぎるので勉強というよりは楽しんだ方が大きかった研修旅行でした。
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さて私たちは今回は自分たちの車で周ることにしました。最終的に周ったルートはこちらです。
09:30五井駅付近の五井エリアスタート →牛久エリア →高滝エリア → 平三エリア → 駅舎を巡り →17:50五井駅にゴール
訪れた中からエリアごとに印象的だった作品風景をご紹介していきます。
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1.五井エリア
まず、総合受付会場のある五井駅に集合しました。受付会場は、五井駅東口降りてすぐにあります。私たちは一度車を停めて、ここでパスポートを購入しました。一人3000円。パスポートは作品ごとのスタンプラリーの台紙でもあります。ちなみに、各エリアごとの受付にチェックインするとパスポートの横端を、昔の切符を切る道具でパッチンをしてもらえるんですよ。このぱっちんラリーの台紙でもありました。パスポートの他に様々な周遊のための資料一式を不織布のバックに入れていただきました。アイテムがゴージャスです!
受付を終えると、早速五井駅脇のカフェスペースを発見しました。
「こみなと待合室」店内はフリースペースとなっています。ここで人と待ち合わせたり、自分の作業をしたりできます。また、軽食やパンとコーヒーも販売されています。あとは小湊鉄道のオリジナルグッズが結構な種類で販売されていました。ぜひこちらをのぞいてみてくださいね。
五井エリアには、もちろん作品も展示されています。総合受付のすぐ横でまず発見。真っ黒なコンテナに専用のペンで引っ掻き、その傷跡から中にあるレインボーの光が漏れてみれると言う参加型の作品でした。
もう少し歩くと今度は古い機関車と機関車の関連する古い建物のを利用した作品に出会いました。
2.牛久エリア
牛久のエリアは街なか散歩をしながらの鑑賞エリア。商店街の空き店舗そして現役の店舗を活用してアート空間が出現していました。
小湊鉄道上総牛久駅前では個室ごとに一つの建物になっているユニークなトイレがありましたよ。これも作品の一つです。コンセプトもありどこを使うか選ぶのも楽しいです。ぜひ利用してみてください。
このエリアで一番印象深かった作品が安藤洋品店。この安藤洋品店は現役の洋品店さんでした。
作家の中崎透さんが、お店の皆さんにお話を聞き、その言葉と店内の商品が陳列されることで、お店が紡いできた物語を鑑賞者が追体験するような作品でした。
展示によりお店の歴史をしみじみと噛み締めて、そのまま勢いで半纏を購入。
3.高滝エリア
ここには市原湖畔美術館があるので一番人が多く訪れているのかもしれません。館内でも様々な作品が展示されていたのですが、今回は街や土地に展開している作品にフォーカスしたかったので美術館内は割愛しました。
遅めのお昼ご飯はここでとりました。市原湖畔美術館エリア内にある石窯ピザ「BOSSO」では地元の食材をたっぷり使用した美味しいピザが食べられます。石窯で焼かれたパン生地は香ばしいし、具材は美味しいしで満足です。ボリュームがそこそこあるので、他でも食べ歩きたい方は2名で1枚くらいがいいのかも? サービスでピクルスが一瓶やってきます。
市原湖畔美術館そのものがおもしろくて、散策だけでも十分楽しめました。この美術館のためにまた訪問したいと思えます。
4.平三エリア
いちはらアートxミックス2020の会場になった場所として閉校になった校舎を利用した会場が3つあります。今回は旧平三小学校を訪問しました。2016年に約140年の歴史に幕を下ろした小学校の校舎に、さまざまな作家の作品空間が出現していました。交流イベントも土日を中心に開催されているようです。その中から一部ご紹介です。
ご紹介以外にも体験型・参加型の作品が展開されています。とても楽しいので訪問してみてください。車もしくはバスでないといけない場所です。
5.駅舎プロジェクト
すでに夕暮れに近くなっていましたのでこれ以上のエリア訪問は諦め、各駅で 展開されている作品を追いながら五井駅へ戻るルートになりました。
駅舎のほとんどは無人駅のような小さな、郷愁を掻き立てられる場所でした。 そこに展開するアートを追うだけでも、土地とアートが出会うおもしろさを体験できたと思います。
・上総久保駅
なんと駅の待合にホテルが出現。西野達さんの作品です。シャワートイレ付きで思わず泊まりたくなりました。
・高滝駅
小さな駅舎に翼をイメージした明かりのターニャ・バダニナさんの 作品が出現。夕暮れと相まってエモーションな空間でした。
・上総鶴舞
2名の作家作品が鑑賞できます。駅舎は成田久さんの写真による作品で埋め尽くされていました。
屋外に植物に囲われたトイレがあります。これは藤本壮介さんによる作品。植物とトイレ、興味深い組み合わせです。ちなみに牛久駅付近にあったユニークなトイレも藤本壮介さんの作品でした。
・上総川間駅
Googleマップに「ジョアン・カポーテ」の表記が出現するくらい、土地に馴染んでいる作品に出会いました。作者はジョアン・カポーテさん、キューバ在住の作家さんです。80個ものトランクがコンクリートとレンガで組み込まれ壁になっている様は、いろんな解釈がうまれそう。写真のスポットとしてもとてもおすすめできますよ。撮影の際は川間のホームからがオススメです。
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今回の研修旅行はここまででタイムアップでした。エリアの半分も訪問できていません。本当に広い汗。
こう言う形の芸術祭を訪れる魅力の一つは、「旅をする」にあると思います。 作品会場同士に結構距離があるので、観に行くこと自体が旅になり、新しい空気や景色に出会えます。
また、その土地や住む人たちの特性をどれだけ作品に反映させられるかが制作側としては一つキーかな、と思いました。自分の元々の作品の方向性を活かしつつ、しかし地に寄り添う中でその場所でしかみられない作品が生まれる、それを鑑賞できる楽しさは間違いなく訪問すべき理由になります。
もう一つ、これだけの企画は行政の強い後押しがあってこそ。アートを街で展開させるためには、開催の意義を行政側にも丁寧に伝えることや、実際に体験してもらう必要性もあるのかもしれません。
帰りの車内ではメンバーそれぞれの感想や意見を交換しながらの帰宅になりました。 この体験を八千代市での活動に活かしたいものです。